鹿島美術研究 年報第38号別冊(2021)
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注⑴この分け方と各章タイトルは、私が「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」(愛知県美術館・東京国立近代美術館、2011~2012年)の展示と図録を構成する際に用いたものをベースにしている。『生誕100年 ジャクソン・ポロック展』愛知県美術館・東京国立近代美術館・読売新聞東京本社文化事業部編、読売新聞東京本社、2011年。1967): 17.1974), 125.クの発言も足掛かりとしながら、本研究では、ライダー芸術の抽象性がポロック絵画の抽象性の根底にありうることを考察したり、ロバート・ローゼンブラムの「抽象的崇高」論と絡めながら(注8)、ライダーの海景画とポロックのオールオーヴァーのポード絵画のつながりを考察するなどして、ポロックの画業を通じてそこにライダー芸術との関わりを見出しうることを論じた。その他、ポロックの各種ステートメントの和訳については、過去にすでに私が行った和訳があり(注9)、それらに関しては今回全文を見直して、いくつか微修正を施した。また今回新たに、1951年公開のドキュメンタリー映像作品「ジャクソン・ポロック」(ハンス・ネイムス&ポール・ファルケンバーグ制作)でのポロックのナレーションの原稿の全訳と、1950年のバートン・ルーシェの雑誌記事および1957年のセルデン・ロッドマンの書物で引用されているポロックの発言の抄訳を行った(注10)。ポロックの個展歴については、1943年の初個展から2011年4月までのものを過去に作成済みであり(注11)、そこに、その後現在までに開催された20余りの個展の情報を加えた。⑵Jeffrey Potter, “Jackson Pollock: Fragments of Conversations and Statements,” in Such Desperate Joy:Imagining Jackson Pollock, ed. Helen A. Harrison (New York: Thunderʼs Mouth Press, 2000), 92. 私がこのポロックの言葉を強く意識するようになったのは、次の論文を通してである。ヘレン・A・ハリソン、中西園子訳「生きることと制作はひとつ」『生誕100年 ジャクソン・ポロック展』8~15頁。⑶William Rubin, “Jackson Pollock and the Modern Tradition, Part I,” Artforum 5, no. 6 (February 1967);Bernice Rose, Jackson Pollock: Drawing into Painting (New York: The Museum of Modern Art; NewYork: Harper & Row, 1980); Michael Fried, “Jackson Pollock,” Artforum 4, no. 1 (September 1965).⑷Jackson Pollock, “Jackson Pollock,” Arts & Architecture 61, no. 2 (February 1944): 14.⑸See Francis V. OʼConnor, “The Genesis of Jackson Pollock: 1912 to 1943,” Artforum 5, no. 9 (May⑹Pollock, “Jackson Pollock,” 14.⑺Ruth Kligman, Love Affair: A Memoir of Jackson Pollock (New York: William Morrow & Company,⑻Robert Rosenblum, “The Abstract Sublime,” Artnews 59, no. 10 (February 1961): 41, 56; Robert― 575 ―― 575 ―

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