Golisnerは伊藤の図では内殻の輪郭がよくわかると指摘している(注18)。№24は体表全体が黒褐色で描かれ、ごく小さな斑点を不透明な白色で表現している。体表が樹枝状の長い突起と円錐形の短い突起で覆われている様を細い線で精緻に描いている。また樹枝状の長い突起の一部には輪郭線が描かれ、その形状が強調されている。黒色の斑点には「体ニ散点セルハ如シ角ノ根ニアルハ黒点ナリ」「点ヨリナル」とのメモ書きがある。№26と№27は同一の■■■■■■■■■■■■■■■■■を描いており両図版ともに47頁に貼付されている。№26と№27は同じイラストレーションボードに清書されている。№26は上から見た図、№27は側面図であり、それらは1枚の紙に描いていたが、ノートに貼付するため2つに分割されたようである。№26は外套膜の葉が大きく開き遊泳姿勢である。№26の体表は全体的に透明感のある褐色と緑色で描かれ、淡い黒色や白色の斑点が点描であらわされている。輪郭線も淡く細い褐色を使用することにより軽やかさが表現されている。№27の体表は褐色であり、明るい褐色の網目状の表現がみられる。№30の体色は濃淡のある薄緑色で表現され、白色と赤色の円斑が密に描かれている。突起は大きく左右に張り出しおおまかに形状を描いている。№32の体色は白色から薄い橙色のグラデーションで描かれている。濃い褐色により円班を描いているが「斑紋ハ黒色中ニ/梢葛色ヲ含ム」とのメモ書きがある。また「伸縮」というメモ書きとともに■■■■■■■■■■■■■■■■が伸びている図と縮んでいる図が鉛筆でスケッチされている。№35の体色はほぼ黒色に近い青色で描かれている。水色で縁取りがなされているが、線の太さや色の変化をつけることで立体感を出そうとしているように見える。№36は全体が黒色であるが、縁部分のフリルに濃淡があり軽やかさを表現している。№37〔図6〕の体色は褐色だが、縁辺付近には枝分かれした放射状の線があり黄色で描いている。全体的に放射状の模様が多く、それに加えて細かな斑点もあるがそれらを丁寧に描写している。№38の体色は褐色であるが、背面中央部に不透明な白色の縦縞が入っている。全体に顆粒状突起が密に入るため、暗褐色の上に不透明の白色で細かな点描を描いている。№41の体色は白色で、黒色の縦線と橙色の縁取りがみられる。突起部分は橙色で円錐状になるよう立体的に描かれているが、全体的には大まかな表現となっている。№42の体色は褐色であり、同心円状に赤色の縁取りがある。中央部には不規則な隆起があり、立体的に表現しようと試みている。№49の体色は全体的に赤みがあり黄色の斑点が多数描かれているが、ほかの図版と― 189 ―― 189 ―
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