鹿島美術研究様 年報第39号別冊(2022)
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係の刊行物が8割近くを占めることがわかる。全24点のほとんどが浮世絵師の手にかかるものであるがわずかに例外もあり、また文化期に入ったあたりで江戸名所絵本そのものの刊行が下火になるさまも看取されよう(注3)。天明元年 鶴岡蘆水    ×隅田川両岸一覧 *巻子本  五年 鳥居清長    △絵本物見岡     北尾政美(蕙斎)×江都名所図会  *俳書・巻子本  六年 北尾重政    ○絵本吾あずまからげ妻袂     喜多川歌麿   ○絵本江戸爵  七年 北尾政美(蕙斎)○絵本吾嬬鏡     喜多川歌麿   ○絵本詞の花寛政二年 喜多川歌麿   ○絵本吾妻遊     喜多川歌麿   ○絵本駿河舞  六年 歌川豊国    ○絵本纐くくりぞめ纈染     喜多川歌麿   ○絵本蓬の島(改題本『絵本春の若葉』『絵本若葉栄』)  七年 歌川豊国    ○絵本江えどのみず都之見図     北尾重政    ×絵本江戸桜  十年 北斎      ○東遊 (挿絵のみ『画本東都遊』として再刊)  十二年北尾政美(蕙斎)×山水略画式(前半を江戸の風景に充当)     歌川豊国    ○絵本江戸紫(挿絵のみの改題本『江戸名所』)(注4)     北斎      ○東都名所一覧享和二年 北斎      ○みやこどり     美辰      ○そこらうち文化元年 歌川豊広    ×絵本東物詣     北斎      ○画本狂歌山満多山  二年 北斎      ○百囀  十年 十返舎一九   ○江戸名所図会(序題『江戸名所画本』)  十三年北斎      ○絵本隅田川両岸一覧(注5)これらにおいて描かれた地は、数え方にもよるが、実に130を超える。そのなかで、あきらかに頻繁に取りあげられる名所が確立していく。本稿では紙幅の都合上、詳細は省略するが、隅田川のように広域にわたるものや、芝居町・吉原は別格として、そ― 13 ―― 13 ―

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