鹿島美術研究様 年報第39号別冊(2022)
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切が遵守されなかったことに加えて、予定していた通訳者がコロナに感染して無理が利かなかったため、最終的に一部の通訳をプロの同時通訳者に依頼することになった。翻訳や通訳を担当した大学院生からは、貴重な経験ができたことを今後の研究の糧にしたいという声が寄せられた。④ 準備方式準備段階では、海外の報告者毎に担当者(大学院生または知人)を決めて、早めに発表原稿を提出してもらった。それを翻訳して会議での通訳原稿を準備する中で、報告者と大学院生の間で発表内容を共有しながら、準備をすすめることができた。そのため、必ずしもプロ並みの通訳ができたわけではなかったが、関わった大学院生からは、国際会議の準備に本格的に携わることができて非常に勉強になったという声が寄せられた。以上のように本シンポジウム開催により、従来パレルゴン(脇役的イメージ)にも含まれなかった風のイメージ世界に正面から取り組むことで、新たな視点の導入、比較美術史研究、文化人類学的美術研究などの観点で、さまざまな成果をあげることができた。また視聴者からは、風に関する自らのアイデアを寄せる人もいて、冒頭で述べたキャッチボールの一環としての役割は果たすことができた。引き続き、報告者以外からの寄稿を含めて拡大予稿集を出版し、学術界に本シンポジウムの成果を伝えていく。― 537 ―― 537 ―

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