注⑴ 三宮千佳「中国南朝の阿弥陀浄土図の景観と皇帝の苑」(『美術史研究』第48冊、早稲田大学美⑵ 前掲注⑴⑶ 前掲注⑴⑷ 支遁「阿弥陀佛像讃」(唐・道宣撰『廣弘明集』所収)では「其佛號阿彌陀。 晋言無量壽。國無王制斑爵之序。以佛爲君。三乘爲敎。」つまり阿弥陀の極楽浄土を国家と捉え、阿弥陀仏を君主と捉えているという。また「館宇宮殿。悉以七寶。皆自然懸搆。制非人匠。苑囿池沼。蔚有奇榮。飛沈天逸於淵藪。逝寓群獸而率眞。」つまり阿弥陀浄土の景観に、皇帝の苑のように池があり、鳥獣や魚類、また花や草木など現世の自然界のものが存在した、という。⑸ 前掲注⑴⑹ 内田広由紀『構図エッセンス』(みみずくアートシリーズ、視覚デザイン研究所、1983年)⑺ 川合康三『桃源郷 中国の楽園思想』(講談社選書メチエ558、講談社、2013年)⑻ 金子裕之「宮廷と苑池」(角川選書339、金子裕之編『古代庭園の思想-神仙世界への憧憬』、増え、構図がより複雑になり成熟した表現となっていく。このように、構図の面から阿弥陀浄土図をみると、画家は現実の庭園景観をもとに浄土を視覚化しようとしているといえる。また画面を分割し、対角線、放射線も用いて景観に立体感や遠近感をつけ、構図を変化させながら成熟していったと考えられる。図版出典図1、4 『中国国宝展』図録(東京国立博物館、2000年)図2 『中国石窟 麦積山石窟』(天水麦積山石窟芸術研究所編、《中国石窟・敦煌莫高窟》編集委術史学会、2010年、pp. 87-108)角川書店、2002年)員会監修、平凡社、1987年)図3 『世界美術大全集 東洋編』第3巻(曽布川寛、岡田健責任編集、小学館、2000年)図5、6、7 『中国石窟 敦煌莫高窟』第3巻(敦煌文物研究所編、《中国石窟・敦煌莫高窟》編集委員会監修、平凡社、1981年)― 76 ―― 76 ―
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