鹿島美術研究様 年報第40号別冊(2023)
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て: 小松2022, 29; 42 No. A11.⑾ IG I3880. 小松2022, 34; 43 A19.⑿アテネ、アクロポリス美術館 No. 13255. 小松2022, 34; 43-44. A20.⒀ Paus. 1, 23, 10. 小松2022, 28-29; 42 A9.⒁アテネ、アクロポリス美術館 No. 7898; IG I3835. 小松2022, 43 A15⒂ Athen. 12, 534d-e; Plut. Alk. 16; Paus. 1, 22, 7. これまでの研究について: 小松2022, 37 No. ⑹ Supra n. 1.⑺ Junker 2002, 158-167; Junker 2005, 124-125. なおメラニッピデスについて: RE XV 1(1931)C2-3..注⑴紙幅の都合から残念ながら先行研究を取り上げることは難しい。先行研究におけるプロパガンダ説とその批判については次を参照:Junker 2002, 142-145.⑸彫刻家ミュロンについて: RE XVI 2(1933)1124-11230 s. v. Myron (G. Lippold); Vollkommer 422 s. v. Melanippides 2(Maas); Junker 2002, 160 n. 114.⑵ Junker 2002, 177-178; Junker 2005, 135-136.⑶ Paus. 1.24.1; 馬場1991, 111. 引用した邦語訳は馬場恵二氏による。⑷女神アテナ: ルーブル博物館 No. Ma 2208; 女神アテナ: フランクフルト・アム・マイン、リービヒハウス彫刻館 No.195. 女神アテナ及びマルシュアス: ヴァティカン、グレゴリアーノ・プロファーノ美術館 Nos. 9970, 9974, 9975, 370022II (2004)96-103 Nr. 1. s. v. Myron (P. Bol); DNO II 1-118 Nos. 720-840.⑻ Junker 2002, 161.⑼アテネ、碑文博物館 No. 6379; IG I3823. Cf. 小松2022, 29;42 No. A10.⑽アテネ、アクロポリス美術館 No. 13248; IG I3847; Paus. 1, 23, 9. これまでの先行研究につい⒃ IG I3666; 小松2022, 28; 42 A8.⒄小松2022, 28 n. 24.る勝利を記念するために、勝利者が奉納物を建立する習慣があったことが確認できる。一般にこれまで論じてきた奉納物とはまず神々に対する感謝のしるしとして聖域に設置されたが、他方では自らの功績を公衆の面前に堂々と提示する役割をも担っていた(注32)。第四章では合唱隊奉仕者の優勝を記念して奉納された奉納物や音楽競技大会の場面を表現する陶器などにも目を向けた。以上を踏まえて、本作は音楽競技大会での二管笛を用いた種目での勝利を記念に奉納されたと考えられる。何よりもピンダロスは前490年頃に二管笛競技勝者のための祝勝歌でこの神話に言及をして詩の注文主の功績を讃えている。確かに神話の特定の伝承や神々・英雄たちを表現する彫像形式の奉納物は戦争における勝利を契機として奉納される事例は知られる。しかしながら、当時のギリシア人には自らの奉納物に神話伝承を選択する際には、戦争以外にも様々な動機があったのだろう。―130――130―

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