Brandstätter, 2012, pp. 233-238. また、同年1909年の第二回クンストシャウは国際展であり、当時のオーストリアの現代美術が紹介された前年の第1回展に対し、ゴッホをはじめとする後期印象派やナビ派の作品、マティスの作品などが展示された。この年、クリムトは最新のフランス美術に触れる機会に恵まれていたと言える。Christisn M. Nebehay, Gustav Klimt: sein Leben nach zeitgenössischen Berichten und Quellen, München, Deutscher Taschenbuch-Verlag, 1976, p. 244.⑵ Alice Strobl, Gustav Klimt: die Zeichnungen, 4Bde., Bd.3, Salzburg, Galerie Welz, 1984. p. 91.⑶『クリムト展ウィーンと日本1900』東京都美術館/豊田市美術館、2019年、210頁。⑷ Johannes Wieninger,“Ostasiatisches im Spätwerk von Gustav Klimt,”in: Sandra Tretter, Peter Weinhäupl, Gustav Klimt - Atelier Feldmühlgasse 1911-1918, Wien, Brandstätter, 2014, pp. 48-57.⑹ Sandra Tretter, Hans-Peter Wipplinger (Hg.), Gustav Klimt. Jahrhundertkünstler, Wien, Leopold Museum, 2018, pp. 136-165.London, New York, Routledge & Kegan Paul, 1986, pp. 234-236.⑸この二点の肖像画における図像分析と作品の制作背景については、下記の拙稿を参照のこと。尾﨑登志子「グスタフ・クリムト《エリザベト・レーデラーの肖像》:画中の中国的モチーフの分析を中心に」『待兼山論叢』、第55号、大阪大学大学院文学研究科、2021年、61-80頁;尾﨑登志子「グスタフ・クリムト作《フリーデリケ・マリア・ベーアの肖像》:背景の中国の人物群像に関する考察」『美術史』、第184冊、美術史學会、2018年、298-312頁。⑺なかでも最大のパトロンであったレーデラー夫妻の所有していたクリムトの作品群は、第二次世界大戦中にナチスにより接収され、低地オーストリアのインメンドルフ城に保管された後、終戦間際に城ごと作品が焼却されるという悲惨な運命を辿った。Christian M. Nebehay, Gustav Klimt, Egon Schiele und die Familie Lederer, Bern, Verlag Galerie Kornfeld, 1987. pp. 11-16.⑻2012年に刊行されたトビアス・G・ナッター編集のカタログ・レゾネでは、《扇を持つ女》は完成作とされているものの、実際の作品の細部を見ると、女性の左腕と衣装の境目部分など絵具の仕上げが甘い箇所があることが分かる。そのため、本作も絶筆の一つである可能性が指摘できる。⑼クリムトはモデルの体の部分や表情を緻密に仕上げてから、その上に衣装を重ねて描き、そして最後に背景に細かな装飾を描きこむといった手順で作品を制作したと考えられている。Tobias G. Natter (Hg.), Gustav Klimt: sämtliche Gemälde, Köln, Taschen, 2012. p. 642.⑽本作はベルヴェデーレ美術館の特別展にて、2021年3月25日から2022年2月13日まで展示された。https://www.belvedere.at/dame-mit-faecher-0 (ベルヴェデーレ美術館Webサイトより、2023年5月10日最終閲覧)。なお、1981年には東京・メゾン美術館の「世紀末ウィーン」展、1992年にはクラクフで一般に公開されている。⑾ベルヴェデーレ美術館主催の、《扇を持つ女》に関するオンライン展示を参照した。https://artsandculture.google.com/story/YgWBkMySI0C-wQ (Google Arts & Culture Webサイトより、2023年5月13日最終閲覧)⑿同Webサイトにおけるオンライン展示を参照。⒀ https://sammlung.mak.at/sammlung_online?id=collect-48680 (2023年5月10日最終閲覧)⒁ Wolfram Eberhard, A dictionary of Chinese symbols: hidden symbols in Chinese life and thought, ⒂「ウィーン文化研究所」と同機関の世紀末ウィーンの美術家たちへの影響関係については、下―467――467―
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