鹿島美術研究様 年報第40号別冊(2023)
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の流入:模倣から各地域における独自の様式の確立へ/第4章 19-21世紀:モダニティとの邂逅/第5章 ラスター彩史第2部 歴史を描く礎としてのイスラーム陶   第6章 陶器の器形/第7章 タイルの用途と設置場所:建築装飾と墓碑/第8章 銘文と装飾/第9章 陶工・タイル工の有した教養/第10章 パトロネージ:発注と寄進第3部 世界各地におけるイスラーム陶の受容史:コレクターとコレクション   第11章 19世紀以前のヨーロッパとイスラーム陶との関わり/第12章 19世紀以前の日本とイスラーム陶との関わり/第13章 19世紀末~20世紀初頭のヨーロッパにおけるイスラーム陶コレクションの形成/第14章 大正~昭和期の日本における「ペルシャ」陶コレクションの形成/第15章 国内の美術館所蔵の重要作品~イスラーム陶100選~終 章初年度にあたる2022年度は、スペイン(注1)、インド(注2)、および国内(注3)の美術館・建築物において、第1部第3章、第1部第5章、第2部第7章、第2部第9章、第2部第10章、第3部第11章、第3部第14章、第3部第15章の内容に関わる基礎的調査を行うと同時に、学術論文の執筆・出版(注4)および一般向けの講演(注5)という形で研究成果の発信を行なった。また、松戸市立博物館(「イランの技とデザイン:奥井コレクション展」、期間:2022年4月29日-2022年6月12日)、東京国立博物館(「創立150周年記念:東京国立博物館のイスラーム陶器」展、期間:2022年10月4日-2023年1月22日)、INAXライブミュージアム(「Fashion On Tiles─あの時代、この国のおしゃれさん─」展、期間:2022年10月15日-2023年4月11日)の3館におけるイスラーム陶を含む特別展に、カタログ執筆や記念講演という形で、学術的に貢献したことも、特筆に値する。Ⅱ 愛知県陶磁美術館所蔵の年代入りイラン製倣青花陶器について紙幅の都合上、本年度の研究成果全てについて網羅的に言及することは難しい。このため、本稿では、今年度調査した作品のうち、史料的価値が高いと考えられる、愛知県陶磁美術館の所蔵する2点の年代入りイラン製倣青花陶器を紹介することとする(注6)。遅くとも14世紀末までに、西アジアは中国製の青花(染付磁器)の主要な輸出先と―550――550―

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