る〔図7〕。今回の画像分析によりペリオの読みが裏付けられた。この阿闍梨は文様のある敷物の上に立ち、手には柄香炉を捧げ持っている。柄香炉は先学の指摘にあるように興味深い持物である(注15)。そこで柄香炉の遺物や美術作品に表された柄香炉との比較を通して確かな描起こし図の作成を試みた〔図4〕(注16)。柄香炉については後述する。[同 第2身]……供養図像は模糊としているが尼僧であることは分かった。但し題記の「供養」は分からなかった。[同 第3身]〔図5、6〕尼普光寺……先述したように、題記の「尼普光」は力強い筆致で描かれており明瞭である。ただし尼僧像の手の辺りが模糊としており、第1身のように柄香炉を捧げ持っているかどうかは判断できない。[同 第4身]□(尼)普光寺……このうち「光」字の一字前は「普」字であるとの確証は得られないものの、「普」と推測することは可能と現地で思った。「光」字は明瞭であり、第1身第3身の例を念頭に置くと、第4身も普光寺の尼僧像であると推測される。第5身から最後列の女性供養者像までは全て在家信者の姿である。以下、同壁の供養者題記に対する調査結果を列挙する。[同 第7身]故新婦……[同 第8身]□(故)……[同 第10身]□(故)……一……[同 第11身]新婦□(七)娘子一心供養[同 第13身]新婦□(蓮)……なお、『供養人題記』p. 134に本題記のカルトゥーシュが“紅地”(カルトゥーシュの中の背景が赤色)と記されているのは、白地の誤りと考えられる。[同 第14身]新婦……□……[同 第15身]新婦五娘子……供養なお、『供養人題記』p. 134に本題記のカルトゥーシュが“黄地”(カルトゥーシュの中の背景が黄色)と記載されているのは、白地の誤りと考えられる。―80――80―
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