鹿島美術研究 年報第41号別冊(2024)
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(1)「広告美術の考察」『広告論叢 第七集』(1927)おそらく霜鳥はこれらの項目に基づいてアメリカでの広告媒体や店頭装飾の実例を紹介したものと思われる。2.昭和期における霜鳥の図案に関する言説つづいて昭和期に発表されたいくつかの霜鳥の言説からその図案観をさぐってみたい。まず、昭和2年(1927)発行の『広告論叢 第七集』(萬年社編・発行)に収載されている「広告美術の考察」について検証する。『広告論叢』とは、霜鳥もその顧問をつとめた明治23年(1890)創業の大阪の広告会社、萬年社が、大正13年(1924)より発行した刊行物である(注9)。ここに霜鳥が大正15年11月に萬年社新築記念講演会で講演した大要が掲載されている。霜鳥は、広告美術の概念について、応用美術のひとつであり広告という目的をもつ対他的なものであること、それゆえに人の眼をひきつけることが必要であるが、一方でできるだけ美化につとめることが日本の文化の進展につながると説いている。そして広告画の原則として、おもに下記の項目を提示して説明している。II The Place of Related Shapes in Advertising (広告における関連する図形の位置)III The Significance of Balance in Advertising (広告におけるバランスの重要性)IV Movement as a Vital Factor in Advertising (広告における重要な要素としての動き)Emphasis as Applied in Advertising Construction(広告構築における強調)V VI Use and Abuse of Decoration and Ornament(装飾や装飾物の使用と乱用)VII Use and Abuse of Decoration and Ornament(装飾や装飾物の使用と乱用)VIII The Province and Power of Color in Advertising (広告における色の領域と力)IX The Selection and Use of Type in Advertising (広告における活字の選択と使用)X *( )内は著者の追記The Topography of Advertising(広告の地誌)― 111 ―― 111 ―

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