直に業火へと落下する。業火の中では龍が開口して亡者を待ち構える。【右幅第四段(初江王)】画面左の王庁の中に初江王と二名の冥官が坐す。王庁の前の地面では亡者らが初江王に向かって坐す。画面中央には亡者を乗せた火車を曳く獄卒、亡者の身体を篩にかける獄卒、臼の中の亡者を杵で打ち砕く獄卒を描く。画面右では獄卒が釜の中に刺又で亡者を放り込む。【右幅第三段(宋帝王)】画面右の王庁の中に宋帝王と二名の冥官が坐す。王庁の前の地面では亡者らが宋帝王に向かって坐し、これを獄卒が睨む。画面中央上部では二名の亡者が一匹の白蛇、二体の獣と業火から逃げる。画面左では三名の獄卒が押し合う岩の間に挟まれた亡者らが血を流し、その様子を亡者の集団が眺める。【右幅第二段(五官王)】画面左の王庁の中に五官王と三名の冥官が坐す。冥官のうち一名は算盤を執る。王庁の前の地面では亡者らが五官王に向かって坐す。王庁の右隣では、一本の木を背にした二名の亡者が、獄卒によって鋸で身体を縦半分に切られる。画面右上では蛇が亡者の身体に巻き付く。その下方では首を紐で括られた亡者らが四つ這いになり、牛頭の獄卒を曳いて画面右端の業火の中へと向かう。【右幅第一段(閻魔王)】画面右の王庁の中に閻魔王と二名の冥官が坐す。閻魔王の前に人頭杖が置かれ、獄卒が業秤、浄玻璃鏡で亡者の尋問を行う。画面上部には川、針山が描かれる。画面左には業火の中に渡された橋を、棍棒を持つ獄卒に追い立てられて亡者が渡り、橋から落ちる亡者を開口した龍が待ち構える。【左幅第一段(変成王)】画面右の王庁の中に変成王と二名の冥官が坐す。冥官のうち一名は、手に執った槌で餅に釘を打つ。王庁の前の地面では亡者らが変成王に向かって坐し、その傍らで獄卒が仰向けになった亡者の腹に槌で釘を打つ。画面左では、大勢の亡者が茹でられる釜を、先端が三叉に分かれた棒で獄卒がかき回す。釜の傍らには薪を焚べる獄卒、薪を運ぶ獄卒を描く。薪を運ぶ獄卒の背後には、亡者の集団が坐す。【左幅第二段(大山王)】画面左の王庁の中に大山王と二名の冥官が坐す。王庁の前の地面では女性の亡者らが大山王に向かって坐す。王庁の右隣では、一本の木を背にした亡者らが獄卒に鋏で舌を抜かれる。その手前では、刀葉樹の上に坐す女人をめがけて亡者らが木に登る。画面中央では、獄卒が女性の亡者を画面右の血の池へと棍棒を振りかざして追い立てる。血の池の周囲には針がめぐらされる。血の池に入った女性の亡者らは画面の右端へと向かって歩く。【左幅第三段(平等王)】画面右の王庁の中に平等王と二名の冥官が坐す。画面中央では三名の亡者が鎧を着て刀を執り争い、獄卒が彼らに太鼓を打ち鳴らしたり、槍で― 415 ―― 415 ―
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