今回の視察・調査に基づき、絵画と彫刻の境界線上の現象としての淡彩画について2023年度内に論文にまとめることを予定していたが、資料の読み込みと考察が遅れていてまだ完成に至っていないため、これについては2年目の継続課題としたい。たこと、また校務等との兼ね合いで不慣れなベルギー各所を周るのに足る日数を確保できなかったことから、代わりに短時間で関連作品を効率的に調査可能なスペインを今回の渡航先の一つとした。3. 予定では今年度の海外渡航中にフィレンツェも訪問し、II章第4節の「美術アカデミー創設運動」に関連する一次史料(フィレンツェ国立中央図書館およびフィレンツェ古文書館所蔵のフィレンツェ素描アカデミーの初期の規約)を入手することにしていた。ところが旅程後半で新型コロナウイルスに感染、発症し経由地のミラノから動けなくなってしまったために、断念せざるを得なくなった。ただし、同規約は部分的に邦訳されていることに加えて、その後入手したイタリア語文献にすべて採録されていることが判明したため、今後の研究に大きな支障はないと考えている。上述の通り、2023年度の活動状況としては、計画の1については予定よりも速いペースで順調に研究を進められている。3についても想定外の事態で実施には至らなかったが、代替策でカバーすることが出来た。2については2024年度の早い段階で遅れを取り戻せるよう活動を継続していきたい。― 609 ―― 609 ―以上
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