⑶ 会議出席① AAS 2024 Annual Conference(アジア研究協会 2024年度大会)期 間:2024年3月14日~3月17日(4日間)会 場:アメリカ、シアトル・コンベンション・センター報 告 者:九州大学大学院 人文科学研究院 専門研究員 李 宜 蓁報告者は、2024年3月14日から同年3月17日まで、アメリカのシアトルで開催されたアジア研究協会(Association for Asian Studies、略称AAS)の年度大会で研究発表を行った。AASは1941年に成立したアジア研究の非営利組織であり、会員数が七千名を超え世界一の規模を誇る。関連書籍の出版やシンポジウムなどの開催を通して、東アジアをはじめとするアジア全域への理解を促すことが同学会の成立主旨となっている。とりわけ、毎年春にアメリカ国内で開催される4日間の年度大会は最も重要な行事である。2024年3月の年度大会では、参加登録者は3424名、美術史のみならず、政治・歴史・文化といったさまざまな観点から立ち上げたパネル(論文発表会)は467回に達した。報告者は3月15日のパネルで、「虚空を指さした姿:黙菴筆「布袋図(MOA美術館)」における図像表現の再考(Pointing at Emptiness: Reconsidering the Iconography of Mokuan Reien (?-1345)ʼs Budai Painting in the MOA Museum of Art)」を題とする発表を行った。報告者を除いたパネルの成員は、司会者として板倉聖哲教授(東京大学)、コメンテーターとしてユキオ・リピット教授(ハーバード大学)、発表者として陳雪溱氏(東京大学)・単単氏(ライス大学)・高橋真作先生(東京国立博物館)である。中国・唐時代の書と日本・平安時代におけるその受容に関心を持つ陳氏は、「刻まれた碑石を通して海を渡って:平安前期における王羲之の『聖教序』の流布と受容(Through the Engraved Stone and Across the Sea: Circulation and Reception of Wang Xizhiʼs Shengjiaoxu in Early Heian Japan)」を題とする発表を行った。単氏は「道子墨宝」(クリーヴランド美術館)のような白描による道釈画を主な研究対象とし、「白描から模写へ:『伝法正宗定祖図巻』とその中国製の手本(From Drawing to Trace: The Patriarchs of Buddhism Scroll and Its Chinese Models)」を題とする発表を行った。一方、昨年「東福寺展」を企画した高橋先生は、「明兆筆「五百羅漢図」の制作:参考と調整(The Making of Minchōʼs Five Hundred Arhats: References and Modifications)」― 666 ―― 666 ―
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