鹿島美術研究 年報第41号別冊(2024)
693/712

期   間:2024年6月22日主 催 者: 京都市京セラ美術館、国立西洋美術館、ピカソ芸術研究会、 日本経済新聞社会   場:京都市京セラ美術館(講演室)、オンライン配信(Zoom Webinar)報 告 者:国立西洋美術館 特定研究員  久保田 有 寿1.開催趣旨2023年10月3日から2024年1月28日まで、報告者の所属する国立西洋美術館において、「キュビスム展─美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、ジャガールへ」が開催された。西洋近代美術の大いなる転換点をなす前衛芸術運動「キュビスム」の重要作品を、パリのポンピドゥーセンターの所蔵品を中心に紹介した本展は、日本では約50年ぶりのキュビスム展であると同時に、この半世紀の間に大いに進展し蓄積された研究成果を踏まえ、同運動の複雑で豊かな歴史的展開を多面的かつ包括的に提示する、世界でもほぼ類を見ない機会として大きな反響を受けた。本国際シンポジウムは、キュビスム展が2024年3月20日から7月7日まで京都市京セラ美術館に巡回するにあたり、その会期中に、同展監修者でポンピドゥーセンター/国立近代美術館・産業創造センター前副館長のブリジット・レアル氏と、ニューヨーク大学教授でピカソ研究の第一人者であるペペ・カーメル氏を招聘し、国内外のキュビスムやピカソ並びに関連分野の研究者や展覧会学芸員が一堂に会すことで、とりわけフランス、アメリカ、日本の研究者の異なる視点を交わらせながら「キュビスム芸術」の革命性を多角的に考察・議論することを目的として企画された。本シンポジウムは対面とオンライン配信のハイフレックス方式で実施され、主催・後援団体の研究者たちに周知するのみならず、一般にも無料で公開することとした。これにより、学術成果を広く社会に還元し、何より印象派などと比べていまだ日本では認知度の低いキュビスムへの理解を促すことが期待された。なお、本シンポジウムの開催に際しては、カーメル氏を日本に招致し、対面での基調講演の実施と、全体討議への参加が予定されていた。しかし急病のため氏の来日は急遽取りやめとなり、講演と全体討議は、ニューヨークからオンラインでの実施・参⑷ 会議開催① 国際シンポジウム「キュビスム、美の革命─その生成と拡張」― 677 ―― 677 ―

元のページ  ../index.html#693

このブックを見る