鹿島美術研究 年報第41号別冊(2024)
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会場風景(京都市京セラ美術館 講演室)あることを再認識させるものであった。また、中山氏や河本氏の発表で日本におけるキュビスムやコラージュの受容が取り上げられていたように、日本というキュビスムの独自の展開があった場所で、複数の国の第一線の研究者たちとともにその意味を議論することは、キュビスムを世界美術史のより広い文脈で検討するだけでなく、国際的な研究の日本からの発信という点からも非常に意義深いと言えるだろう。本シンポジウムの参加者は会場が65名、オンラインが217名で合計282名にも及んだ。そのうち26件のアンケートが寄せられたが、満足度は非常に高く、「キュビスムについて多くの議論が聞けて大変勉強になった」、「キュビスムがなぜ美の革命なのか多角的な視点で理解できた」、「国際的で専門的な発表を市民に無料で開放して頂きありがたい」といった好意的な意見が多数寄せられた。本国際シンポジウムは、海外研究者と日本の研究者の交流や意見交換の場を提供し、日本におけるキュビスム理解と研究の活性化を促す非常に貴重な機会となった。― 682 ―― 682 ―

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