鹿島美術研究 年報第42号別冊(2025)
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⑴ メゾン=アトリエ・フジタ公式ウェブサイト(https://foujita.essonne.fr/la-maison-atelier-foujita/la-maison-atelier-foujita-a-villiers-le-bacle/ )[最終閲覧日2025年 5 月 6 日]⑵ メゾン=アトリエ・フジタにおいて調査中ということもあり、35mm ネガフィルムのコマ総数は筆者らの調査時点では「不詳」とされた。したがって、現存する 35mm ネガフィルムの内、何割が紙焼きされたかも不明である。尚、林洋子氏はその割合を「半分程度」としている(林洋子『藤田嗣治 作品をひらく─旅・手仕事・日本─』名古屋大学出版会、2008年、479頁)。⑶ ここでいう「写真」は、ヴィンテージプリント、モダンプリント、ネガフィルムおよびリバーサルフィルムの状態で存在する資料を指す。⑷ なお、約 2000点の紙焼き写真の元になった 35mm ネガは、メゾン=アトリエ・フジタの所蔵となっているが、管轄しているのはフランス文化庁である。35mm ネガの総コマ数は不詳。また、これらのコンタクトプリントの存在は現時点では未確認である。35mm ネガは藤田旧蔵時に 1コマから数コマに連なる形で任意に分割されており、さらに恣意的かつ不規則にグルーピングされて保管されていた。このような保管状態は一部の写真の内容特定を困難にした。所蔵館による識別子は、旧蔵時のグルーピングに基づいて付与されている。⑸ アン・ル・ディベルデル「レオナール・フジタと写真」『レオナール・フジタとモデルたち』注れている。他にも、未発見の写真や、藤田自身が生前に処分した写真もあるだろう。また、「エソンヌ写真資料」のフィルムには、藤田自身の手によってカットされ、別のフィルムに混ぜ込まれたものもあるという。画家が日記の一部を意図的に処分するように、残された写真にも、画家の恣意的な選択が反映されている可能性は高い。しかしながら、フィルムに映ったモノや風景は変えようがなく、そのときの関心のありようを偽りなく映し出している。絵画作品のための素材にすることを前提に撮影された写真もある一方で、そうした意識をさほどもたず、無意識に心を寄せてカメラを向けたモノや風景もある。こうした膨大な一次資料の解析をさらに広げることで、藤田嗣治という画家のまなざしが、よりありありと浮き出てくるであろう。[付記]本稿は、第 1 章および第 2 章を若山満大が、第 3 章および第 4 章を森本陽香が執筆した。[謝辞]本研究にあたり、エソンヌ県およびメゾン=アトリエ・フジタ(Maison-Atelier Foujita )、フジタ財団(Fondation Foujita )、東京藝術大学大学美術館に多大なるご協力を賜りました。また、アン・ル・ディベルデル氏、ソフィ・ドゥランサル=マンギー氏から、ご助言とご教示を賜りました。ここに付記して感謝の意を表します。― 31 ―― 31 ―

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